Cookie(クッキー)よ、さようなら:新しい時代のマーケティング戦術

By Taylor Hawes

過去20年間で急速に普及したデジタル広告。そのめざましい成長を支えてきたのは、ほかでもないCookie(クッキー)の存在です。Cookieとは、ユーザーのコンピューター端末とブラウザのドメインに保存される小さなデータパケットを指し、ユーザーの本人認証や、ECサイトでのカート情報維持など、さまざまな目的に利用されています。

そして、これまでCookieCookieによって浮かび上がる消費者像は、Webマーケティングに不可欠な情報源として活用されてきました。しかし、Googleがブラウザ上のサードパーティ(第三者)Cookieの廃止計画を発表したことにより、業界は一気に「Cookieレスの時代」へ突入。高度なデータ分析で消費者へのパーソナライゼーションと関連性向上に努めているRoktでも、この発表以来、これから訪れる変化について社内で話し合いを重ねてきました。

ここでは、Cookieによるアトリビューション分析が難しくなる今後、世界のマーケターにとって重要となるポイントをまとめています。

Cookieによるトラッキングの歴史

サードパーティCookieによるトラッキングは、これまで四半世紀に渡り、デジタルマーケティングを支える柱となってきました。ユーザーのWebアクティビティを追跡することで効率的にターゲットを定め、より消費者の関心に近い広告配信を可能にしてきたのです。さらに近年のWeb広告配信業界では、いわゆる「サイト越え」トラッキングが主流となり、より長期間に渡る追跡が可能になりました。一層豊富なデータによって消費者行動をさらに深く理解できるようになったことで、これまで以上に的確なターゲティングはもちろん、個人のオンライン購買を特定の広告配信に紐付けることもできるようになったのです。シンプルに説明するとこれは、ユーザーがサイトを再訪すると、ブラウザがCookieファイルをサーバーに送信し、その結果、ユーザーはパーソナライズされたブラウジング体験が楽しめる、という仕組みです。

こうしたデータによって、飛躍的な成長を遂げてきたWeb広告業界。2019年だけで1,290億ドル以上のデジタル広告費が投じられたアメリカでは、2023年にはその数字が2,000億ドルまで昇り、全米における広告予算全体の66%以上を占めるであろうと見込まれています。

しかし、サードパーティーCookieの台頭と消費者データへのアクセス拡大によって、個人情報交換やプライバシー保護に関する本人決断権の欠如が、大きく問題視されるようになりました。ウェブページにCookieを設置するタイプの広告プラットフォームは、無制限(y)の期間に渡り、個人がその後訪れるすべてのページでその挙動をトラッキングできるため、その人の閲覧習慣やWeb上の「足あと」を確認できるわけです。また、収益手段の一つとしてサイト側が複数のCookieを受信していることも多く、さまざまなクライアントから同時に何十ものサードパーティーCookieが送受信されていることも珍しくありません。これに対し、消費者と規制当局が、そうしたデータの安全性とプライバシーの保護を求め、最終責任が課されるソフトウェア事業者たちに変化を訴えるようになったのです。

サードパーティーCookieに対する「最初の防御線」とも言えるウェブブラウザは、近年、消費者のプライバシー保護について十分な対応を行なってこなかったとして、大きな批判の対象となっています。ブラウザにはかつてから、サードパーティCookieを無効にする設定方法が組み込まれていましたが、ただでさえ複雑な機能設定ページに埋もれてる場合がほとんどで、消費者にとってはわかりづらいのが現実でした。その結果、20203Apple社は、SafariにおけるサードパーティCookieを初期設定でブロックすることを発表。主要ブラウザの中で、初めてこれを実現しました。それに続き20206月、Firefoxも同様のアップデートをリリースし、デフォルト設定ではサードパーティCookieが拒否されるようになりました。現在Safari35.4%)とFirefox4.3%)は、ブラウザ市場の第2位および第3位を占めており、今後この動きが企業によるサードパーティデータの取り扱いに大きな変化をもたらすと考えられています。一方、Microsoft社と(20195月にいち早くブログ記事で業界に変革を呼びかけた)Googleは、独特なスタンスを取っており、サードパーティCookieを利用した収益目的の広告プラットフォームを引き続き残しています。とはいえ、Google2022年までに、Chrome上のサードパーティCookieをブロックする計画を発表。Microsoftは、EdgeにおけるサードパーティCookie設定をよりアクセスしやすくできるよう努力を見せています。

つまり、2022年にはブラウザトラフィックの約90%が、サードパーティーCookieによる追跡ができなくなり、サードパーティCookieの属性分析方法としての有効性が完全に失われることになる、というわけです。

デジタルマーケティングにおける課題

こうした変遷により、2020年だけでもブラウザトラフィック全体の40%(モバイルトラフィックの56%)近くがアトリビューション分析不可能となりました。コンバージョンを特定のユーザーに結び付けることができないため、商品のカート投入・購買率、顧客獲得コスト、広告費用に対する利益率といった、重要なマーケティング指標にも頼れない。何十億ドルに昇る広告費の裏付け説明ができず、多くのWebマーケターが頭を抱えています。CCPAをはじめとする政府の規制強化により、カリフォルニア州民は収集される個人データの内容を把握し、その使用拒否ができるようになるなど、個人データに対する自主性がさらに高まりました。同様に、EUの一般データ保護規則(GDPR)は、EU連合および欧州経済領域におけるデータ保護とプライバシー規制に関する規約を定めています。これまでこうしたデータに頼ってさまざまなマーケティング戦略を実践してきた企業も、この先どうやって見込み客を特定しアプローチしていくかを、見直さなくてはなりません。

Cookieレス時代」は、デジタル広告の終わりを告げるものではなく、従来のマーケティング戦略を見直し、新しく画期的なソリューションへの移行を始めなければいけないということです。

企業としてマーケティングのやり方を変えることもできる。もしくは、ターゲット広告を完全にやめることもできる。しかし、マーケティングのプロにとって後者はまず選択肢としてあり得ません。ターゲティングなしには、ロサンゼルスの人々にスノースーツの広告が配信されたり、中学生に住宅ローンの広告が表示されることになる。つまり、メッセージを適切な見込み客に届けるためには、情報収集手段を新たにするしかないのです。

Cookieを使わないターゲットマーケティング手段として、Webページのコンテンツに直接関連する広告を配信する「コンテクスチュアル広告」があります。これは現在多くのビジネスが注目しているソリューションですが、欠点として、コンテンツ上に複数の広告があることで、ページの見やすさと読みやすさが劣り、消費者の不満につながる可能性が挙げられます。その結果、消費者が意図的に広告から目を背けるようになれば元も子もありません。Cookieのない世界で顧客獲得戦略を強化するためには、これまでとは違うデータ収集法に目を向ける必要があるのです。

サードパーティCookie脱却に向けて企業は、消費者のプライバシーを保護しながらも、質の高い顧客体験を引き続き提供するために必要となるデータを得られる、新たなソリューションを探さなければなりません。

ROKTのソリューション:永続的アイデンティティの確立

このような流れを受けて業界では、管理されたファーストパーティ環境の中で、ユーザーアイデンティティを永続的に統一し認知できるソリューションが求められています。こうしたソリューションは、(消費者の合意を受けた上でのみデータを収集し)消費者のプライバシーを保護するだけでなく、企業がマーケティング予算をセグメント、ターゲットおよび属性ごとに正確に割り振りできるよう、お客様に関するより多くのデータポイントを提供。お客様とのより深い関係構築を可能にします。

Roktでは、ユーザーの主要Eメールアドレスを軸とした、永続的アイデンティティ識別システムを構えています。メールアドレスを主な識別子とすることで、一定のデータポイントを中心に、プライバシーを害することなく個人のプロフィールを構築。データセキュリティを損なうことなく、広告主の方々へ向けて質の高い顧客情報を提供することができます。

また、Roktでは消費者のエンゲージメント率や興味、購買意欲が最も高まる「トランザクションモーメント」に着目。弊社独自の受賞歴を誇るダイナミックなAIが、Cookieに依存することなく、この効果的なタイミングで、個々のユーザーにとって最適な次に来るべきアクションを選出して配信します。

GDPRおよびCCPAに準拠したRoktのプラットフォームは、ハッシュ化されたメールアドレスを利用してバイヤーペルソナを作成。機械学習技術でより洗練された最適化を実現し、最高のキャンペーン結果を導き出します。既存の顧客プロフィールを基に、AIが消費者の最大潜在価値を判断し、その人が最も興味を持ちやすいであろうメッセージを表示しながら、エンゲージメントの可能性が7倍にアップするトランザクションモーメントのパワーを活用します。プライバシー規定に準拠したターゲティング技術と、トランザクションモーメントによる活発なエンゲージメントをマッチさせたRoktのプラットフォームは、サードパーティCookieに頼らない新しい顧客獲得チャネルを求める企業にとって、大変効果的なソリューションです。

Roktでは、弊社プラットフォームを活用したダイナミックな顧客獲得の方法をご案内しています。まずはデモのご請求、またはSolutions@rokt.comまでメールでお問い合わせください。